研究課題/領域番号 |
01490020
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
長井 辰男 北里大学, 衛生学部, 教授 (30082225)
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研究分担者 |
今宮 俊一郎 北里大学, 衛生学部, 教授 (40133285)
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キーワード | ABO式血液型システム / ランドシュタイナ-現象 / 細菌の表在性抗原 / 細菌の血液型 / 細菌のレクチン / 血液型のtransformation / 遺伝生物学的検索法 / 遺伝定量検査法 |
研究概要 |
生物の進化の見地からABO式血液型について考えた場合、A型およびB型の血清学的活性は、ヒトだけでなく多くの哺乳類、ある種の植物や細菌にも存在している。従って、A型およびB型に対応する化学物質やその形質をもたらす合成機構は、ほとんどの動植物に存在するものと考えられる。一方、血液型物質を細胞の表面抗原の一種として持つ細菌が特定の血液型物質を凝集する凝集素を産生するという研究(Landsteiner現象の有無)は、当該研究の代表者が世界にさきがけて発表した。 今年度は、この研究を更に発展させるため「自然界におけるABO式血液型のランドシュタイナ-現象」に関する研究を行い、予定項目の研究のうち、次の成果をえることが出来た。(1)菌体表面にヒト血液型のA型活性をもち、しかもB型血球を凝集する凝集素を培地内に産生するというヒトのABO式システムと全く同一システムをもつ全く新しい土壌微生物を発見した。この微生物は、Actinoplanes属の新種である。(2)微生物が産生した凝集素をスクリ-ニングし、その活性および特徴を明らかにした。これによって、ランドシュタイナ-現象が自然界に存在することを実証することが出来た。(3)血液型に関する遺伝マ-カ-のtransformationの定量化に関する研究を行った。主としてABOを遺伝マ-カ-にもつ糖蛋白質はLe^a→Le^b、XIV→H〓〓の転換を行うことが知られているが、これらの相互関係を支配しているLe^a-transfucosidase、XIV-transfucosidase、H-α-galactose transferase、H-α-N-Acetyl-D-galactosmine-transferaseの活性を定量的に分析した報告は皆無である。我々は、この点に着目し、AB型においてはA、B、H;A型においてはA、H;B型においてはB、Hの活性を個々に超微量定量法で定量し、その局在を明らかにすると共に活性分子の数を算定し、従来は定性または半定量に終っていた遺伝生物学的検索を一手に定量化する遺伝定量検査法を開発した。
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