研究課題/領域番号 |
01490023
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
桜井 靖久 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (20010027)
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研究分担者 |
岡野 光夫 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (00130237)
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キーワード | ブロック共重合体 / ミクロドメイン構造 / 抗血栓性 / 細胞内カルシウム濃度 / 細胞膜 / 皮弁移植 / 人工血管 / 血小板 |
研究概要 |
蛍光物質を血小板に添加し画像解析装置を接続した倒立型蛍光顕微鏡を用い、ポリマ-をコ-トしたカバ-グラス上に粘着する血小板の細胞内カルシウム濃度変化を測定し、ブロック共重合体表面における血小板活性化抑制機構について検討した。まず、カバ-グラス上に粘着した1個の血小板に注目し、その濃度変化を測定した.PHEMAでは粘着と同時にカルシウム濃度が急激に上昇しているのに対し、ランダム共重合体では上昇量は少なく、また、ブロック共重合体ではほぼ一定であり、ブロック共重合体では接触による活性化はほとんど起きていないことが示された。さらに、血小板の代謝をアジドを用いて阻害し、同様の実験を細胞外のカルシウム濃度を変化させていったところ、カルシウムを再添加したPHEMAにおいて大きな濃度上昇がみられたのに対し、ブロック共重合体では、カルシウム添加による変化はほとんどみられないことなどから、濃度上昇は細胞外からのカルシウムの流入と考えられ、PHEMA表面では血小板粘着とともにその膜構造が乱れ、外部のカルシウムが細胞内へ流入しやすくなっているのに対し、ブロック共重合体上では、膜の乱れを生じず、安定な構造を保っているためと考えられる。 抗血栓性の評価のin vivoの実験として、皮弁遊離移植における皮弁の栄養血管の保持に人工血管を用いることを試みた。人工血管としては、HEMAーStブロック共重合体を内面にコ-トしたものを用いた。静脈側の血流量を増大させるためにAーVシャントを形成したところ、血流量の増加がみられ完全生着を見た。今後、吻合部の改善、さらに抗血栓性に優れた人工血管の使用により、人工血管を用いた組織移植は十分可能だと考えられる。
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