本研究は、CATV既設地域における住民の情報行動に関する2年計画の調査研究であるが、前年度の滋賀県甲賀郡水口町に続いて今年度は奈良県生駒市をその調査対象地とした。今年度も、先ず、地域およびコミニュケ-ション・情報行動などに関わる文献の収集を実施し、次いでその地域特性に関わる資料などの収集に努めた。さらに、この研究の基本調査である住民に対する大量調査を実施するため、何回か現地視察を行なうと共に、市役所などの機関を訪問し調査実施の協力を依頼した。それと平行して調査票の作成や印刷、その他の準備を行ないつつ調査員の確保とその訓練を行った。その後、8月には調査員と共に現地におよそ1週間滞在し、調査票の配布と回収の作業を実施した。10月には、調査票の整理とそのコ-ディングやカ-ド・パンチの作業にかかり、平成3年1月に入ってその計算機処理を行なった。平成3年2月からそのデ-タについて検討を開始したが、目下前回の現地調査の資料等を加えて全体的な検討を行なっているところである。部分的には今後も資料の補充や現地訪問の必要性があると考えている。今年度の基本調査の結果を概観すれば、今回の調査対象地域は大都市に隣接する典型的なベッド・タウンで、被調査者の情報行動にみる限り、各種のメディア接触も活発で情報の利用やニ-ズが相当に高いことを見て取ることができるようである。ただ、昨年度は、被調査者が調査対象地域全体に分散し、調査実施上の困難があったため、今年度はその点に留意して、市内の幾つかの地域を選定して調査を実施した。昨年度、設備備品として導入したパ-ソナル・コンピュ-タは機動性があり、こうしたフィ-ルド調査を伴う研究にはやはり有効であった。ただ、この地域でも対象地の性格を把握するのに必要な近年の文献が非常に少ないことが一つの問題であることを記しておきたい。
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