研究概要 |
(1)カントの分析的ー綜合的、アプリオリーアポステリオリという判断の認識価値の差異を、新しい視点から捉え直したフレ-ゲの所論と詳しく比較検討した。フレ-ゲの場合には、分析ー綜合の区別は、当の判断・命題が、普遍的論理法則と定義のみから帰結するか否かにかゝっている。一方、アプリオリーアポステリオリの区別は、その命題の真理性の証明が、(一定領域の)一般的法則に依存うるか、それとも個々の事実に依存するかの区別である。算術に関する「論理主義」とは、算術が分析的であることを示そうとするものである。また、分析的真理が、カントと異い、我々の認識を拡張する拡張判断でもあるうると認められる。 (2)カントは、超越学的論理学の意味論を,我々の威性的な時間空間に限定したが、時空をはじめ、時空的な位置を占める個体実体やパラロギスムスの活題になる経験的自我にかゝわる基礎的な用法、「いま」「ここ」「まよう」「きのう」「あした」「これ」「あれ」「私」などの意味論を構築することにより、カントの意義を更に追求する基礎固めとした。
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