研究概要 |
本研究は、『華厳経入法界品』(Gan__・d__・avyu^^ーhaーsu^^ーtra)の梵文テキストの全面的な改訂を目指すものである。そのため、以下のような研究を行った。 (1)前年度に引続き、テキスト後半部分(Vaidya本pp.220〜436)をパソコン上で動く欧文ワ-プロによって入力した。それをSuzuki本と校合し、異同を逐一注記した。 (2)さらに、チベット語訳(ジナミトラ、スレ-ンドラボ-ディ他訳、Peking Vol.26)テキストも、MsーDosにより入力し、梵文テキストとの比較対照の便に資するようにした。 (3)三種ある漢訳、(1)東晋・仏駄跋陀羅訳『大方広仏華厳経』(略称『六十華厳』大正9巻)、(2)唐・実叉難陀訳『大方広仏華厳経』(略称『八十華厳』大正10巻)、(3)唐・般若訳『大方広仏華厳経』(略称『四十華厳』大正10巻)とチベット語訳を綿密に参照して、現行梵文テキストを改訂しつつ、後半部分の和訳を試み、ほぼ完了した。予算の都合で、その一部(第12,42,45ー53章)のみ「研究成果報告書」として公表し、大方の批判を受けるつもりである。いずれ全訳を公刊したいと考えている。 (4)和訳研究の成果に基づいて、現在望みうる最上の梵文テキストを校訂するという仕事は、なお進行中の作業であるが、近い将来完成して、公表したいと念願している。 『華厳経入法界品』の大部分をまがりなりにも読みおえたが、おそらく深い暝想体験を文学的にあらわしたと思われる、その内容は極めて難解であり、その真意を理解するには、まだ日時を要すると考えられる。いずれ本経典を仏教思想史上に正しく位置づけたいと思っている。
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