本研究は、北奥羽と沖縄地方を主たるフィ-ルドとして、民間巫者(イタコ、カミサマ、ユタ、カミンチュなど)に見られる様々な「修行」の形態やその評価、修行観などを系統的に整理し、そこに展開される救済の機能や構造を明らかにすることを課題とした。 本年度は研究の最終年度にあたるため、北奥羽・沖縄両地域における補充調査を行なうとともに、成果をとりまとめて『研究成果報告書』を作成した。 補充調査としては、7月に青森県のむつ市を中心に5日間、10月には弘前市およびその周辺地域において5日間、それぞれ民間巫者からの聞き取り、並びに修行現場での参与観察を行なった。さらに12月には、沖縄県与那城村の平安座島において7日間、当地のカミンチュ系の民間巫者を対象に、同種の調査を実施した。これらの調査においても、琉球沖縄文化圏においては「修行の文化」がきわめて希薄であるという、当初の仮説があらためて立証された。 本年度の後半には、過去3年間に及ぶ研究の一応のまとめとして、研究成果報告書を作成した。内容は、「序論」「第一部・民間巫者論における『修行』の問題」「第二部・民間巫者の人生史と『修行』の文化」から成り、総ペ-ジ数は91頁である。なお報告書の冒頭の「はしがき」において、3年間の研究経費、および調査の具体的日程等について概説した。 このほかの成果としては、2冊の著書(1冊は4月に刊行予定)、数編の論文がある(研究発表の項、参照)。また、日本宗教学会『宗教研究』にも、来年度中に関連論文を執筆の予定である。
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