本年度は次年度に行う本実験の準備として、下記のとおり、刺激の作成と予備実験を実施した。特にコンピュ-タを用いて、ディジタル的に音源の編集を行うことが可能となったので、本年度の予備実験の結果をふまえ、次年度は系統的に刺激条件を変化させ、日本語聴取に及ぼす要因などを検討することが容易になった。 1.音源の収集と選択:音源として、市販の明瞭度試験テ-プ等の標準化されたもの、プロのアナウンサ-による朗読、素人の朗読、会話など様々な音源をディジタル・オ-ディオ・テ-プ(DAT)に録音収集した。その中から、内容、アクセント、イントネ-ション、速度などを勘案し、数秒程度のまとまりよい部分を選択し、40種類の刺激(音源)を作成した。 2.バブルノイズの作成:カクテルパ-テイのように大勢の人が自由に話している所で、その会話音を録音し、試聴した上、意味の聞き取れる箇所や食器の音など不適切な音の含まれる箇所を除いて、バブルノイズを作成した。 3.予備実験の実施:上記の音源を用いて予備実験を行い、音源の妥当性を検討し、これらの音源が日本語能力の弁別に役立つことが分かった。さらにこの実験の結果に基づいて、パ-ソナルコンピュ-タ(PC9801)上で文章中の単語の並べ替え、変更、挿入、削除などの編集を行う技術を完成し、平成2年度に予定している本実験に用いる音源、並びにバブルノイズの付加条件、実験条件などの検討を行った。この結果は平成元年11月に開催された日本心理学会大会において報告した。また、平成2年6月に開催予定の日本心理学会大会でも報告する予定である。 なお、これらの準備は、日本人学生に英語を教える豊富な経験を有し、かつ日本語に関して自らが nonーnative speaker であるコステイガンの協力のもとに、難波、桑野が行った。
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