I.研究の目的 青年の非行的態度とその形成要因と考えられる親子関係について、日本と中国との比較研究を行う。そのために、日本中国両国で中学生と高校生を対象に調査を行い、非行的態度と親子関係の構造を分析する。 II.研究の方法 下記の調査、分析を行った。 1.被験者:中国中学生211名、中国高校生192名、日本中学生460名、日本高校生400名。なお、中国は北京、日本は東京およびその近郊と金沢である。 2.調査内容:個人要因として、非行許容性、道徳意識、愛他性等、親子関係について、父ー子関係、母ー子関係。その他、対人関係、環境要因について調査した。 3.分析方法:中国ー日本と中学ー高校の属性別に集計を行い、分散分析、相関分析を行った。 III.研究の結果 中国は日本より非行に非許容的、道徳意識が高く、愛他的であった。また、愛他行動を行う理由は中国は理性的判断であり、愛他性と道徳性が同じ因子で説明できるが、日本は情緒的判断であり、愛他性と道徳性は分離する。日本、中国共に親子関係が非行的態度と関係がある。これは両国とも高校生により中学生に顕著である。親子関係のうち、日本では親子の良好な関係が非行的態度と関係が深いが、中国ではこれに加えてコミニュケ-ションや親や介入も重要である。
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