日常生活の中における行動特性や習慣が姿勢とどのような関係にあるのかについて、男女大学生約400名を対象に調査を行なった。調査項目は、一般的な健康状態、体の不調や疾病、身長とその高低の自己評価、座る形態、TVを見る姿勢、机に向かう時間、椅子に座る理由、生活中のストレスの有無、スポ-ツや稽古事の年数、姿勢を注意されたか否か、自分の姿勢について気にしている程度、姿勢の良し悪しの自己評価、肩こりの程度などを用意した。姿勢の良し悪しの自己評価を軸として、日常の行動・習慣との関連を調べた。自分の姿勢について気にするのは女子の方が多く、気にしないのは男子に多かった。自分の姿勢をどう評価しているかについては、男子ではかなり悪いという回答が多く、女子の割合の倍であった。姿勢の良い悪いの自己評価と肩こりの発生程度をみると、姿勢が良いと判断した人は、男女とも肩こりを感じる日数が少ない傾向にあった。しかし、かなり悪いと判断した男女とも、肩こりの程度と一義的に対応しているわけではない。他の要因によって肩こりが起こることは充分に考えられる。また、スポ-ツをしていることと姿勢良否の自己評価とは特に強い関連がみられるわけではなかった。さらに、書道、茶道、剣道などの姿勢と関連すると考えられる稽古事の経験との関連も特に見られたわけではなかった。TVを見る姿勢では、男子に寝て見るものが多く、女子は何かにもたれて見ると回答したのが多かった。 これらの「姿勢を気にすること」と「姿勢の自己評価」との関係に特に強い関連はみられなかったが、得られたデ-タを詳細に検討する必要性が示唆された。 今後、これらの対象者の中からサンプルを抽出し、姿勢の計測を実施し、形成要因をさらに追究したい。
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