平成元年度、幼稚園の3歳児数名を選び、8ミリビデオを用いて、自由遊びの場面や先生とのやりとりの場面などを録画・録音。3歳児は、家庭生活を離れて、始めて集団生活を始めるときである。担任は、ひとりひとりの子どもと、1人対1人の場をつくり、子どもの好きな遊びをいっしょにしてあげることが大切である。子どもは先生と仲よしになると、遊びの中で先生とのことばのやりとりを発展させる。先生と自分に対する情動的認知の発達が言語発達の基盤となる。 平成2年度、前年度につつぎ、同じ子ども(4歳児)について、8ミリビデオで記録。1学期には、同じ団地からの子どものリ-ダ-格となって元気に遊んでいた子どもが、2期期中ごろから、ひとりしょんぼりしていることが多くなった。これは、それまで親や家族とのかかわりで作ってきた小さい自分の世界を、友だちとのかかわりをきっかけに、多くの友だちとのかかわりを可能にするように、大きい自分の世界へと作り変える時であり、この時に生じる一種の退行現象と考えられる。担任には、1日に1回、その子どもと1人対1人の場をつくり、子どもの気持をよく関してと、家庭では母親が1日に1回その子どものお相手をすること、をお願いした。父親も協力的で、正月休にかるた取りなどをして、家族全員で楽しく遊んでくれた。親、先生、友だち、自分に対する情動的認知の発達が言語発達の基盤になる。 平成3年度、ひきつづき、同じ子ども(5歳児)について、8ミリビデオで記録。4歳児のときには、どの子どもも、何らかの退行現象をおこしていたが、また、仲よしの友だちとつきあうこともみられ始めていた。5歳児になると、サッカ-の時には誰と、ブロック遊びのときには誰となど、遊びの種類によって友だちを選んでグル-プを作り、ことばのやりとりで遊びを展開した。友だち、自分への認知が言語の基礎。
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