研究概要 |
平成2年度においては米沢市に立地する電機機械工業の業主間ネットワ-クに関する聞き取り調査、および関連事業主へのアンケ-ト調査を実施した。企業属性については1965年から1975年の10年間に創業したものが65%を占め,資本金2千万円,従業員60名規模が平均像であった。事業主の年齢は40歳後半で責任者となり,現在は50歳台が主流である。責任者となった経緯は、自ら創設者であるばあいと、地位上昇や転任昇格によるばあいとが多く、後継者は少ない。出身地としては外来者が多く土着型が少ない点は、織物関連業者と好対照であった。先端産業の労働の質をみると、電機・電子部品の組立作業が最も多く,従業員構成では男女の比率はほぼ同じであるが、第3次下請事業所のばあいは,農家の女性が主体となって先端産業を支えている。業主間ネットワ-クの変容は、これまでの閉じられたシステムから,異世代,異業主をとり込んだ開放ネットワ-クの形成が進んでいるといえる。日常的な対人ネットワ-クでは、子会社と親会社の関係が基本で,仕事の面でも人生上の問題でも親会社の経営者が子会社を世話するケ-スが多い。とくに人生上の問題では4分の1の子会社経営者は「親」を頼りにしている。こうした親会社ー子会社関係のほかに,技術交流,情報交流を中心に開放ネットワ-クが構築されており、異業種交流プラザ、テクノサ-クル米沢、クラブ・コンソシアム21などのネットワ-クが新しい人間関係を構成しつつある。このように織物業からハイテクの町への変換した米沢市は、現代日本の産業再編成の動向を地方都市レベルへ反映させたものであり、今日の社会変容の具体的な側面を象徴しているといえる。
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