1.欧米の教員世界・教員文化についての文献13冊を購入し、10篇を複写した。英米においても、教員社会が独特の行動様式をもつことが注目されており、その日本との比較が課題となる。研究方法として、「酒場での教員たち」「教員の一日」など、学んだ。 2.戦前・戦後の日本の教員世界の形成・展開・変化について、50数冊の文献を購入し、検討中である。明治初期〜中期の教員社会の形成について、その思想的・階層的基盤について論争的課題が残されていることが明らかになったので、二年度目もひき続き歴史的な研究のための史料追求を続ける必要がある。また、初等学校と、中等学校以上との教員社会は、成立当初より雰囲気が異なること、その意味で戦後新制中学校がどういう性格を引き継いだのか、が研究課題となる。 3.東京都公立学校教職員組合発行の教職員名簿より、ランダムに500名の中・高教員をサンプルし、郵送による「教職観」「非行観」についての予備調査を実施した。(当初の予定になかったこの予備調査のため、通信費が予算を大幅にオ-バ-した。)「非行観」について言えば、同種の児童関係職員アンケ-ト結果に比べて、「評価が固い」点がある。教員文化の今日的様相の一つとして、二年度目本調査の追究点の一つである。 4.七人の教師、学校事務職員、住民、へのインタビュ-を実施した。新任教員が教員世界内部の人間関係に著しく敏感になっていること、中盤以上では教員世界内部の「出世」という問題が、派閥も含めて、独特の雰囲気と行動様式を生んでいること、などが浮かび上がっている。これら生々しい問題の追究のために二年度以降もインタビュ-調査の継続が必要と考えている。
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