研究概要 |
戦後日本の教員文化の展開について、新制中学校を中心にインタビュ-を続けたが、そこから戦後の三つの時期を区分するに至った。即ち、 (1).新学制定着期(〜1959年) (2).教育機会拡大期(1960〜1975年) (3).教育問題噴出期(1975年〜) である。そのそれぞれに対応して、学校社会・教員社会の性格も変化し、日本の教員文化も、いくつかの変化をとげてきている。とりわけ、1975年以降の「閉じられた競争」の深まりの中で、「荒れる中学校」・対教師暴力にも直面し、また社会からこの学校・教師批判の矢面にも立たされて、一方で従来の日本的教員文化の機能マヒも生じているが、他方で従来型を越える新しい要素(より本格的に、子ども・父母・地域に結びつく)が生まれている。 初年度と最終年度に実施した教員アンケ-トとその分析とは、教師たちの非行観・校則観を問い、またアメリカのパインズ(Pines,A.M.)らの開発したBurnout Measure(燃え尽き尺度)を開いて教師たちの疲労蓄積の様相をさぐり、それと教員文化諸要素との関連を調べた。また最終年度の教員アンケ-トでは、「学校五日制」についての教師たちの考えと、今日の階層分化・底辺層問題についての教師たちの態度とをたずねた。教員どうしの結婚が圧倒的に多く(約6割)、日頃のつき合いも教員間に限られる傾向の強い彼らが、「教員仲間」を強く形成している動向は確認される。その中で、善意の教師たちが、職場の仲間関係から疎外されて、バ-ンアウトするという統計的傾向が見い出された。また、バ-ンアウト(燃え尽き)係数が、学校五日制に対する見解をはじめ、多くの項目と強い相関を見い出せた。
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