近年、農家・農村の嫁不足が顕著であり、将来のわが国の農村にとって深刻な問題となっている。これは、単に個人レベルの問題のみではなく、社会レベルの問題でもある。そこで、これを産業化の進展と関連させて捉えようとした。産業化は、都市化、流動性、階層構造の開放性、アスピレ-ションの拡大、自然からの乖離などをもたらすと、仮説化されている。それらの仮説が嫁不足といかに関連するかを解明することがこの研究の目的であった。 そのために、職業階層、階層規定要因、地域的階層、地域魅力、職業・地域アスピレ-ション、生活スタイル、農村・農家満足度などに関する、100項目をこえるアンケ-ト調査票を作成した。サンプリングした農村女性(既婚および未婚)を対象に、各戸回って、調査票(サンプル)の基本的部分を収集した。現在、それをコンピュ-タ-に打ち込み中である。 集計の枠組は次のようなものである。(1)農業の階層点は、農村地域ではどうであるのか。全国平均と比べて高いのか低いのか。それは、それを規定する要因、農業の社会的貢献、収入、将来性、仕事のきつさ、創造性とどのように係わるのか。(2)職業のみでなく地域にも地域間格差があるのではないか。それを見るために、新しく地域的階層という概念を導入した。その結果が分るであろう。(3)農村女性は、農村と都市の地域魅力のいずれを選好するのであろうか。(4)農村女性は、職業、学歴、産業、地域に関してどのようなアスピレ-ションをもつのであろうか。(5)農村的あるいは都市的生活スタイルのいずれを選好するのであろうか。(6)以上の各項目と、農村・農家満足度は、どのような関連があるのか。 今後、以上のことが明らかになる。
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