平成元年度、本研究課題のもとに行った主な研究活動は以下のとおりである。 1.我が国における華僑研究の文献目録作成及び華僑・エスニシティ関連文献収集複写。 2.神戸市役所その他において、神戸華僑及び在留外国人の人口・職業に関する統計資料の収集。 3.神戸華僑歴史博物館その他において、華僑諸団体の史料収集と聞き取り。 4.以上を基礎資料として、研究報告書「神戸華僑史年表及び人口資料」の作成印刷。 新たに得られた知見の要旨。 神戸は明治元年開港、明治11年神戸、兵庫及び阪本村を合わせて神戸区となり、明治22年葦合村、荒田村を合併、市制をしいた。以来、市域の拡大と人口の増大を重ねて現在では人口140万、大阪、京都とならぶ全国有数の大都市となっている。この間、華僑を含む残留外国人人口はつねに神戸市人口の2%前後にとどまっていたが、神戸市の発展にとってそのインパクトはきわめて大きかった。明治から昭和の戦前までの在留外国人は主に、貿易を中心とした商業活動を通じて人口を吸収、村落的社会から産業都市への発展に寄与した。神戸市が都市として発展するにつれて、在留外国人の産業面における地位は相対的に低下してきたが、戦後においては、神戸の国際的な文化都市としてのイメ-ジ形成に大きく貢献している。
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