現代自治体の新しい行政組織像は、「参加」と「開放」というキ-コンセプトを基軸に、地域社会全体に開かれたオ-プンなネットワ-ク型行政組織を志向しているという仮説の下にわれわれは考察を進めてきた。多くの変革事例のうちから、変革理念の導入・実践過程のダイナミズムやメカニズムについて、客観的・数量的・比較分析(市町村間)的論考を加え、その結果、次のようないくつかの事実発見がなされた。 1.組織機構および運営の改革の必要性をほとんどの自治体が認知していること(8〜9割)。 2.改革で期待することは、(1)事務処理の迅速・正確化、(2)職員の意識改革、(3)市民サ-ビスの向上がベスト3であった。 3.改革理念は、(1)効率性志向、(2)組織の管理性、(3)経営性を重視し、述に垂直的縦割志向だけははっきり拒否する傾向が見られた。 4.改革の推進力要因は、(1)改革の動機や目的の明確性、(2)トップのリ-ダ-シップの2点が共通している。 5.反対に、阻害要因は、(1)行政組織の硬直性とセクショナリズム、(2)強力なリ-ダ-シップの欠如、(3)職員の変化を好まない体質などが指摘されている。 総じていえば、住民参加・職員参加・自治体参加の新しい制度やル-ルづくりは未確立の段階にあり、情報公開、人事交流などの開放施策もそれほど進んでいるわけではない。しかしこの現実分析により、先進的自治体の関心のありかや問題点がより明確になり、今後、取り組んでいかねばならない重点的課題も鮮明になってきた。これらのデ-タのより詳細な検討は、即に別稿(報告書参照)にても少しずつまとめ公表しつつあり、なお継続して考察を加えていく所存である。
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