本研究は、総合選択制高校の構想と取り組みを手がかりとして、高校改革モデルを構成するための基礎的作業を行うことを目的としている。 1総合選択制高校は、(1)準上位校ないしそれに準ずる中堅校としての地位を確保していること、(2)職業高校再生のモデルを提示したこと、(3)教育の個性化のための多様な取り組みを行っている点で評価できる。しかし、高校生急減期における公私競合状況のなかで、高校教育全体は私学を中心に受験教育へ傾斜しつつある。教育の多様化・個性化をめざす総合選択制高校の存在意義が、今後厳しく問われてくる. 2高校改革モデルを構成する基礎作業として、「学校改善とキ-パ-スン」に関する質問紙調査を実施した。これは4府県の学年主任1800人を対象に郵送法によって行い、410(22.8%)の回答を得た.調査結果の要点は次のようである。(1)高校教育改革の〓害要因は、学歴社会、高校間格差、偏差値選抜にある。(2)教師はかなりのストレスを感じているものが多く、それは教師間の指導観のギャップより生じている.(3)高校像として総合選択制の理念と取り組みを条件つきで肯定するものが多い.(4)学校改善の先導役であるキ-パ-スンは、校内人事では一応適切に配置されているが、校長との連携は弱く学校改善のネックとなっている. 3以上をふまえて、高校改革モデルを次のように構成した。(1)高校は基本的には青年期教育の場として組み換える。知的活動を核にしながらも参加と体験を含んだ多様な活動を行う場とする。(2)普通教育と職業教育の総合化を図る方向で高校の基本モデルを構成する.(3)選択制の徹底を図る方向で分化モデルを構成する。この基本的視点に立って8点にわたる高校改革モデルを提起した. 4高校教育改革の戦略として、(1)教育行政における管理統制的発想の転換、(2)教育行政の主体性確保、(3)各学校の自主性への委任を上げた。
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