研究概要 |
本研究は,親鸞を開祖とする浄土真宗の重要な一派である横曽根門徒の中世のありさまを明らかにしようとしたものである。横曽根門徒とは親鸞の高弟である性信にはじまる門徒集団である。この一派は,下総国西北部と常陸国西部(茨城県)を中心にして,関東一円から東北地方南部・近畿・中部地方などに広がった。彼等の鎌倉時代から室町時代の歴史は,意外なほど明らかにされていない。そこで各地に残る横曽根門徒関係の史料(文書・仏像・絵画その他)を調査して収集し,その上に立って正確な歴史を明格にしようとした。 研究成果として,横曽根門徒関係の史料を多く集めることができた。また鎌倉時代の横曽根門徒と『教行信証』の出版とのかかわりについて,および戦国時代の横曽根門徒について、それぞれ論文を発表することができた。さらに,研究をすすめてきた過程において,横曽根門徒とならぶ浄土真宗の集団である鹿島門徒と大山門徒(大網門徒の一部)についても史料を収集することができ,それぞれの中世の歴史の一端を明らかにすることができた。鹿島門徒とは常陸国南部を中心に広がった一派で、大山門徒は常陸国北部にいた一派である。 以上のような実地踏査をもととし,史料を収集しながら中世の浄土真宗の歴史を明らかにする方法は,非常に有効である。この方法により、今後も研究を継続していきたい。
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