本研究は、 淡路国の国代中世史を総合的に把握することを目的としている。 本研究の成果としてはまずあげるベきは、 淡路に関する古代・中世史料および研究文献の概略を把握できたことである。 また現地研究者との交流も深まり、 今後も調査を続けて行く上での、 貴重な足がかりができた。成果としては、 淡路に関する古代・中世史料の目録、 淡路関係研究文献の目録を作成することができた。 これらに関しては、 完全とはいえないが、 報告書に目録を示した。 また、 今後の研究計画としては、 これをベ-スとして、 地元機関・研究者の協力を得て、 『淡路国編年史料集成 古代中世編』といったものを完成させたい。 本研究は、 総合研究と銘打ったが、 淡路の研究は現地の研究者の努力にもかかわらず、 立ち後れており、 特に中世に関する関連史料については、 その全体像はまったく把握されていない。 そのため、 現地での調査・打ち合わせは、 もっぱら地元に残った史料の把握すること、 あるいは地元での従来の研究を把握すること、 というレベルで行なわざるを得なかった。 したがって、 文献史料の網羅的検索は断念せざるを得なかった。またそれに規制されて、 古代中世史の具体的推移を詳細に記述するまでには至らなかった。 これは現地調査を重視したための必然的な結果もといえ、 その点、 本研究は所期の目的を達せられなかったといわざるを得ずない。 しかし、 本研究が基礎的段階に終わってしまったことは、 まことに残念ではあるが、 基礎的問題はほぼ把握することが出来たので、 その成果を踏まえれば、 淡路の古代中世史研究は、 非常に楽になったといえる。 その点、 本研究は発展性を持っているので、 所期のねらいとは少しずれるが、 大きな成果を得られたと考えられる。
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