研究概要 |
平成元年度には、敦賀半島集落の内、沓・手・色浜・白木・竹波・名子(明光寺)・浦底・丹生・縄間(斉藤家文書、滋賀大学経済学部附属史料館所蔵)の各地区と、たばこと塩の博物館所蔵の塩業関係資料、京都大学文学部所蔵文書の調査を行った。 平成2年度は、前年度に引き続き、二村・名子(塩屋)・常宮・立石・北田 菅浜・沓見地区の調査と,東京大学史料編纂所の中世文書影写本を調査した。その結果、二村(庄屋文書2点)、名子(庄屋塩屋文書742点)、常宮(護符版木のみ)、立石(区有文書301点,海安寺文書119点)、北田(区有文書25点)、菅浜(金石文のみ)、沓見(龍頭文書54点・横川文書65点)を採録することができた。二村は庄屋の分家から出てきたものだけで、本家の方には未着手である。名子塩屋文書は本年度調査の最大の成果で、万治3年根付帳の他に年貢諸役の負担関係史料が多く、明光寺文書と合わせると名子浦の近世像が組み立てられるだけの内容がある。立石区有文書は、生魚販売や難船荷物に関する史料が特色である。海安寺文書中で注目されるのは、若連中の相撲興行についての史料である。沓見龍頭文書は、地味札の他に神社関係の薄書が出た。横川文書には勝知山藩元禄検地帳の写がある。名子・北田・常宮などは全く従来未出の史料であり、いずれも敦賀半島の集落の歴史を考える上で貴重なものである。 本研究に対する助成期間は本年度で終了したが、沓見では新田家から新田義貞の系図をはじめとする史料の存在が確認されるなど、未調査の原・櫛川地区と共に調査の継続が必要であるので、徹底した悉皆調査をめざして、来年度以降も研究を継続する。
|