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1991 年度 実績報告書

新唐書食貨志の史料的研究

研究課題

研究課題/領域番号 01510223
研究機関東洋大学

研究代表者

高橋 継男  東洋大学, 文学部, 助教授 (50125598)

キーワード新唐書食貨志 / 典拠史料 / 参考史料
研究概要

本年度の前半期は、当初の計画に従って前年度の作業を引きつぎ,『新唐書』食貨志(以下,『新食貨志』と略称)全5巻の第4巻中ば,即ち銭法以下の記事に検討を加え,その多くの記事の典拠史料及び関連する参考史料を究明することができた。その一端を示せば,唐前期の銅銭私鋳の盛行に対する処置として,第4巻に「永淳元年、私鋳者抵死、隣保.里・坊・村正皆従坐。」という記事があるが,これは『通典』の巻7食貨・銭幣下に「永淳元年五月勅,私鋳銭造意人及勾合頭首者,並處絞,仍先決杖一百。従及居停主人,加役流、各決杖六十。若家人共犯,坐其家長,老疾不坐者,罪帰其以次家長。其鋳銭處,隣保配徒一年、里正・坊正・村正各決六十。‥‥」という史料に基づいて,これを極端に簡略化したものであることが判る。なお,この『通典』に記す永淳元年の詔は、『宋刊統』巻26雑律の「諸私鋳銭者流三千里」条に,「准刑部格勅」として殆どそのまま転載されているので,この勅は後に刑部格勅に収められ,長期的に使用される法令となったことも知られる。また『新食貨志』第4巻にみえる銅鋳増鋳の対策として行われた「〔開元〕十一年詔,所在加鋳,禁売銅錫及造銅器者。」という記事は,『冊府元亀』巻5。1邦計部・鋳幣に、開元十七年八月(『唐大詔令集』巻112「禁鋳造銅器詔」では同年九月)の詔として掲げられる史料に基づくものであるが,『通典』巻9同上では「〔開元〕十一年制日」として同じ制文を載せているので,『新食貨志』本条は『冊府元亀』などではなく『通典』に拠っていることが判明する。なお,本年度の後半期は,本研究のとりまとめとして研究成果報告書の作成を行った。報告書には『新食貨志』の総論にあたる巻1,2の両巻の分析結果を収録したが,この両巻の記事に関しては本研究の目的を達成し得たと考える。巻3以下については今後更に検討を進め,その成果を遂次発表していく予定である。

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公開日: 1993-03-16   更新日: 2016-04-21  

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