本研究を遂行する第1年度として、まず発掘を計画した。発掘すべき遺跡を決定するために、検討会や千葉県下の遺跡の踏査を行う。5月には、千葉県香取郡小見川町所在の城の台貝塚の試堀調査を実施した。その結果、斜面に形成された貝層が残存していることが確認された。本貝城は1944年東京大学人類学教室が発掘しており、その後消滅したのではないかといわれていた。縄紋時代早期の数少ない貝塚であることから、再発掘を行いその成果を明らかにする意義は大きいと思われた。発掘にむけての勉強会、検討会を重ね、城ノ台南貝塚の発掘を7月15日〜24日(10日間)実施した。 発掘の結果、斜面貝塚の上層部分は後世の攪乱によって保存状態が悪かったが、約1.5m下からは攪乱されていない貝層を確認した。貝層の時期は縄紋時代早期の野島式であり、同じ貝層から早期の人骨の頭骨2体分を検出した。包含層が深く、人骨が出土したため発掘日数がかかり、第1年度の発掘を野島式の貝層の面で留め、第2年度の発掘に期することとした。 なお、城ノ台遺跡発掘の遺物整理は夏休みと9月からとりかかり、水洗、注記、拓本、実測の順で進めてきた。合せて、出土資料の比較のため関連遺跡資料の調査や出土型式の検討会を実施した。現在は、第2年度の発掘にむけて準備している。
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