研究概要 |
明治から現代にわたる日本近代小説の中,昭和期の88点を分析し,重ねて明治期以来の全200点の作品を再検討した。 1,昭和期の主要作家の代表作に絞り,(1)登場,退場およびクライマックスの場面を主とする女主人公のしぐさと表情さらには服装,小道具,背景,環境等の典型的な場面をカ-ドに取る。 (2)男主人公についても同様の作業を行う。 (3)必要に応じて,その他の人物も取り上げ,これに関連づける。 2.国立国会図書館・日本近代文学館をはじめとする全国の図書館・研究資料室に実地調査に赴き,極力初出認・初版本によって作家の表現意識を探るとともに,挿絵等にも当たって当時の時代相を確かめた。重要な資料はカメラおよびビデオにも収めた。 3,昭和期の主要作家の代表作を取り上げて詳細な分析をし,典型作りを試みた。具体的には,川端康成「雪国」大岡昇平「武蔵野夫人」三島由紀夫「金閣寺」安部公房「砂の女」野間宏「青年の環」大江健三郎「万延元年のフットボ-ル」古井由吉「沓子」等がそれに当たる。 4,上記を検討して,コンピュ-タ-分析の基本的なサンプルを作りつつある。 5,これを前年度の作業結果とつき合わせつつ,日本近代におけるしぐさの変遷を全体的に追跡し、写真・ビデオの結果も組合せながら,全体的な展望帯と意義づけを試みている。 6,これらの作業から得た直接・間接の成果をもとに,別記のような著書および論文等の発表を行った。
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