研究概要 |
我々は62、63年度に「コンピュ-タ-による中世英国韻文ロマンスのコンコ-ダンス編簒」の課題によって文部省科学研究費補助金の交付を受けてノンサイクルもの10篇のコンコ-ダンス編簒を完了したが、同じ課題によって本年度より3カ年の予定で補助金の交付を受けて、中世英国韻文ロマンスの重要なサイクルの一つである「シャルルマ-ニュ大帝伝説群」(フランスもの)の主要な作品7篇のコンコ-ダンス編纂の計画を推進することができることになった。 初年度の平成2年度は、この伝説群の中で最も長い作品Sir Firumbras(c.1380;5852行)を取り上げた。この作品は、我々が今まで研究したことのなかった作品であることと、テキストが1879年出版のEETS版しかないために、作品研究とテキスト研究・検討に本年度の大半を費やした。助成金によってロマンス関係の文献を購入することができ、以上の研究・検討に大きな力となった。 平成2年秋からテキストのコンピュ-タ-入力作業を始め、入力テキストの校正を行った。これは助成金によってアルバイトを雇うことができて、作業が進捗した。本報告書提出時点では、校正が完了して、word index,ranking frequency listが完成した段階である。年度末までにKWIC concordance,reverse word list,rhyme indexを作成し、Sir Firunbrasのコンコ-ダンス編纂を完了する予定である。 なお、我々は中世英国韻文ロマンスの有力な詩型である尾韻詩のrhyme indexのコンピュ-タによる編纂プログラムを完成し、大阪大学言語文化部の紀要に発表した。これは我々のコンコ-ダンス編纂計画にとって大きな成果である。
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