アレックス・ラ・グ-マの『三根の縄』(1964)の作品論、アパルトヘイトの歴史と現状についての講演、南アフリカ作家ミリアム・トラ-ディさんの宮崎講演の実現、が主な成果である。 『三根の縄』は50年代のアパルトヘイト体制下で呻吟するケ-プタウン郊外の「カラ-ド」と称される人々の状況を描いた物語だが、歴史を記録したい、世界に現状を伝えたいという作家ラ・グ-マの願いが反映されている。雨のイメ-ジを象徴的に使った文学手法に着目し、1988年カナダのブロック大学で開催されたアレックス・ラ・グ-マ/ベシ-・ヘッド記念大会で行なった口頭発表を軸に「アレックス・ラ・グ-マ」人と作品6『三根の縄』-南アフリカの人々」にまとめた。近々出版予定(校正済み) 講演は、愛媛県松山市の市民グル-プ「アサンテ・サ-ナ!」に招かれ、50年代、60年代の文化的・社会的状況を生み出した政治的、歴史的背景を中心に行なったもので、今までのまとめと今後の方向づけという意味と、研究成果を社会に問う意味でよかったと思う。「アパルトヘイトの歴史と現状」にまとめ、近々出版の予定。(校正済み) 突然の来日のため、個人的招待という形になったが、南アフリカ国内外で活躍中の作家ミリアムさんを迎え、本学で一般公開の講演会を持った。文化的行事の少ない宮崎では、マスコミも好意的に取り上げ、大きな反響があった。通訳も含め、講演会という形で研究成果を社会に還元出来たのは、出版物を世に問う以上の成果があったように思う。1960年代後半から作家活動を始めたミリアムさんとの交流は、研究テ-マそのものでもあった。宮崎訪問、滞在についてのエッセイ、講演「南アフリカの文学と政治」と質疑応答の翻訳も含め「ミリアムさんを宮崎に迎えて」にまとめ、近々出版の予定。(現在、校正中)
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