研究概要 |
1.3年計画の最終年度である本年度は、昨年度までに終了した膨大な数のカ-ドの翻訳の未完の部分の完成を心がけ、研究対象とする単語別にカ-ドの分類と、用法別と意味別に下位分類を行い、その分類に従ってインフォ-マントに意味の再確認を行い、分析を終了した。 2.平成3年の8月17日から9月18日まで、タイ国バンコク市のチュラロンコ-ン大学を訪問し、タイランド・インフォ-メ-ション・センタ-及び中央図書館で関連論文でいままで入手不可能であったものをコピ-して持ち帰ったほか、文学部のナワワン・パントゥメ-タ-女史に面会し、種々の疑問点を尋ねることができた。とくにcaの意味について筆者の直感と全く違う答を彼女から得て、軌道修正を余儀なくされた点もある。 3.研究成果の概要は以下の通りである。 研究開始以前に予測していたのと大幅に異なり、アスペクトのみを表す形式はkamlaη〈進行、最盛期、状態の継続〉、kh〓〓y〈過去の経経〉、way〈継続、目的遂行のための準備〉の3形式のみで、他のアスペクトを表すと思われた形式,Juu「状態の継続、強調」、sia「完了、消滅、命令、残念」l〓〓w「完了、発話時の決断」ca「未完了、非実現、疑い」kh+n「プラスの方向への変化」、loη「マイナスの方向への変化」はすべてアスペクトを表す時と、モダリティを表す時と、同時にその両方を表す時がある。モダリティに関しては拘束的な部分は日本語より英語にずっと近い性質を備えている(e.g.toη〈=must〉,khwan〈=should〉)が、認識的モダリティは日本語に近い(e.g.khoη〈だろう〉,aat〈かもしれない〉ものが多い。終助詞によるモダリティの表現は日本語に酷似している。
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