1.音声資料および映像の収録と語彙調査 平成元年8月、釧路において板綴舟とその進水式儀礼(沙流出身の日川善次郎氏司式)を写真撮影し、ビデオテ-プについては、NHK釧路が撮影したものを提供してもらうことにし、入手した。また、太平洋沿岸地域に保存されている丸木舟と厚司の調査を行い、語彙収集の基礎資料とした。(難波) 12月、静内の調査を行い、静内町豊畑の織田ステノ氏(女)、同町春立の葛野辰次郎氏(男)からユ-カラ等を採録した。(難波・田村) 平成2年2月、釧路での「アイヌ民俗文化祭」において、旭川、平取(沙流)、釧路、阿寒のアイヌの人々に会って調査を行った。そこで演じられたユ-カラ・歌謡・舞踊・民話などのビデオテ-プについては、北海道ウタリ協会が録画したものを提供してもらうことにした。(田村) 2.資料の整理・分析・記述 『アイヌ語音声資料(4-6)索引』を作成した。 沙流方言の未整理のテ-プを筆記して、整理を進めた。また、語の形態分析を試みるとともに、必要に応じて、各語の用例を網羅的に打ち出し、これを用いて意味分析を行った。特に物質文化に関する語彙については、分担者の難波氏に協力願った。こうして語彙記述を進めるとともに、後日公刊する予定の用例につきアイヌ語辞典の作成を進めた。(田村) 今回の調査で収録された総語彙数は354語で舟に関する語彙は74語であった。舟に関しては形態・機能の概要を明らかにして得て、信仰・儀礼等に関する多くのデ-タも収集した。屈斜路古丹では病気治療のための人尿使用の新情報もなり、これらは、さらに調査、整理をすすめることにより、今まで知られていない語彙の資料となる見通しを得た。(難波)
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