1.国務省関係のうち、(1)領土小委員会関係文書はほぼ検討終了。但し、重要なH-114シリ-ズを落としていたことが判明した。(2)戦後計画委員会についてもほぼ済んだが、関係者の覚書や委員会資料などの周辺文書のフォロ-の不十分さが判明。(3)軍関係についてはほとんど検討に入れなかった。 2.45年段階の国務陸海軍三省調整委員会SWNCCと極東小委員会SFEについては、活動が占領期にまたがっているため、日本占領を担当したGHQ/SCAPサイドの動きとの関連に注目しながら分析するため、設備備品費でConfidential U.S.State Departement Central Files のうちのJAPAN INTERNAL AFFAIRS 1945-1949を購入し、関係資料の整理を始めた。また、新たにSWNCCとSFEの政策文書以外の関係文書を検討するためマイクロ・フィルム類からの複写を多量に行った。 3.太平洋問題調査会と外交関係協議会の機関誌については、整理にとどまった。 4.以上を通して、(1)主として明治憲法下の天皇制が非立憲的君主制としてもっていた問題群についてのアメリカ政策担当者たちの認識の検討が進んだ。他方、天皇制に立憲君主制として含まれる問題群については、人権の抑圧状況についての認識が具体的であるのにたいして、議会制をめぐる状況認識は概して平板であることが明らかにされつつある。(2)人権抑圧状況についても、これを支える社会的集団同調シルテムと国家支配との関係等、いわゆる天皇制の政治構造の中でそれがどのような位置にあるものとして認識されていたかを検討することが今後に残されている。(3)また、各時期の政策策定については、学問的な日本認識よりも、その時々の戦局との関連により一層留意すべきことが明らかになった。
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