1.国務省では、【○!イ】在日経験者が主導的役割を果たし、彼らは日本支配層の英米派との撃がりに影響される傾向があり、【○!ロ】最終局面で高官層は他の連合国との軍略政略上の調整により方向づけを与えた。 2.軍における調査は個別問題に分節されたため、天皇制支配の全体構造についての認識が稀薄であり、その成果は異なる様々な戦略的観点によって利用できるものにとどまりがちであった。 3.IPRなど民間組識における論議は、【○!ハ】当面の政策の実施可能性から相対的に自由な長期的視野にたつものが多く、日本の国家機構における非立憲的要素の廃絶だけにとどまらず、天皇制支配を支える社会システムをも視野にたつものがあり、【○!ニ】また、アメリカ一国の利害と共に、中国など他の連合国の利害への考慮が相対的に強かった。 以上の諸点が確められ、このことから次の点をまとめることができた。 i)天皇制については、欧米の立憲君主制論を認識枠組とし、非立憲的要素(特に軍事の議会からの独立性)を廃絶すれば軍国主義体制は衰滅するとの楽観的見方が支配的であり。 ii)天皇制の非立憲的要素を支える社会システムの集団同調的構造への警戒と、この克服の方途の探索については、【○!イ】【○!ハ】を除き稀薄であったこと。 iii)他方、戦後における日本の占領と武装解除は、政策々定の初期から当然視されており、この限りで日本の非武装化による(アメリカと連合国の)安全保障を確保する方針は、天皇制改革のあり様の如何とは独立に決まっていたといえる。 今後、国務省と軍の研究において指導的役割をはたした日本研究者の文書、およびOWIによる日本軍捕虜の意識調査の分析・検討を行ない、総合し研究をまとめる必要がある。
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