1.本年度は、まず、国連のマイクロフィッシュ資料を利用して、国連憲章の起草過程の研究に着手した。 2.次いで、国連の経済社会理事会、第三委員会、国際人権規約の実施機関である規約人権委員会(人権専門委員会)における国際人権規約等の人権文書の適用・運用についての諸国の国際“人権"概念に関する公式な見解表明の分析に着手し、1970年代以降の議論の特徴を明らかにしつつある。 3.本学の現有図書設備では上記の研究のため必要な文献・資料が殆ど皆無であるので、関係文献を購入した。また、本研究上不可欠な雑誌論文の複写を内外の研究機関に依頼・入手し、さらに、東京に出張し、自ら資料の収集にあたった。調査補助者の助力をえて、こうして集めた文献・資料の整理にあたった。 4.以上の作業と分析によって、次のことが明らかになった。 (1)昨年度分析した世界人権宣言および国際人権規約の起草過程におけると同様、1960・70年代における諸国の公式な見解表明においても、文化的・宗教的文脈によって“人権"概念に関する立場の相違がみられること。 (2)国際人権かかわる国連文書は膨大な量が毎年刊行されるので、大量の文書の収集・整理・分析には、当初孝えていた以上の時間と労力を要すること。 (3)(1)の点に関連して、当初本研究の第3年度(平成3年度)に研究予定の文化相対主義の主張に関する論点については、これを絶えず念頭に置きつつ研究にあたるべきであること。
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