研究課題/領域番号 |
01520038
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
藤原 保信 早稲田大学, 政治経済学部, 教授 (10063629)
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研究分担者 |
佐藤 正志 東海大学, 政治経済学部, 教授 (30145156)
飯島 昇蔵 早稲田大学, 政治経済学部, 助教授 (80130863)
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キーワード | 政治概念 / イデオロギ- / 規範理論 / 正義 / 自由 / 平等 / 自由主義 / デモクラシ- |
研究概要 |
本研究は、正義論に関する近年の諸研究の成果を、新たな規範的政治理論の構成に統合することを目的としている。近年の社会哲学の焦点となっている正義論は、個人の基本的価値を再検討しながら、望ましい社会秩序のあり方を考えてゆこうとするものであるが、本研究では、以下の手順でこの課題に応えようとしている。第一に、現代自由主義論の新たな展開において正義論の果たした役割を明らかにすることを通じて、自由と平等の概念を再検討する。第二に、今日のリベラル・デモクラシ-を上記の概念に照らして再検討するとともに、代替可能なデモクラシ-の諸モデルを明らかにする。第三に、以上の成果を、分析的・実証主義的科学主義と、パラダイム論以後の相対主義の両者を越える、新たな規範的政治理論の構成に統合をはかる。 本年度は、まず、ロ-ルズとドゥオ-キンという近年の代表的な正義論を検討し、その「公正としての正義」の理論、「デモクラシ-と平等」に関する見解の再構成を行なった。また他の代表的な正義論や、新たな規範理論の構築のための基礎となる今日の政治哲学や社会理論についての検討を、他の多くの研究者との共同研究のなかで進めた。次に、20世紀のイデオロギ-の展開を跡づけることによって、自由主義と社会主義の現代的位相を明らかにするとともに、今日の規範理論の課題を明確化した。最後に、政治概念の変容とそれにもとづく今日のイデオロギ-の流動化を、これについても多くの研究者との共同研究を通じて、明らかにし、デモクラシ-論と正義論を統合した、新たな代替的政治秩序モデルの可能性を探った。とくに、概念の変容に関しては、近年の政治思想史の方法の革新によってもたらされた、近代的諸概念の再検討の成果を積極的に組み入れるようにした。
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