研究概要 |
独立性及び正規性の仮定下に於る平均値の変化時点の発見に関する逐次分析ではTakahashi(1988)の推定量をWoodroofe(1986、Very weak oxpansion,Ann.Statists)の展開の中心にすえる事によりWoodroofeの結果を大きく改良できる事が判った。一方AR(1)の様な時系列モデルに対してはWoodroofeの方法が有効であろうとの予想はあるが、具体的にはまだ見るべき結果を得られてはいない。本年度に於る実績の一つはTakahashi(1988)を完成させ本年6月発行の日本統計学会誌へ出版のはこびとなった事と、その中で残された問題=標本数の上限が存在する場合の漸近展開=解決の一応のメドが立った事である。次年度以降の研究との関連においては、近年行われている多くの金融時系列の実証研究の結果(特に株価収益率等において)、それらの系列においては平均値は多くの場合ゼロである事が示されてきている。そこでの問題は平均値の変化ではなく、分数の変化が重要である。それ故次年度に於いては分散の変化時点の発見及び推定を中心に研究を進める。具体的には独立性の仮定下で分数変化発見のためのCusumテストを考え、そこに於るBoundary crossing問題を議論する。
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