研究概要 |
本年度は、理論的研究を中心として、かなりの成果をあげることができた。地域的な不完全市場については、価格調整がなぜ不十分にしか機能しないのか、また地域的失業とインフレ-ションの関係についても、分析ができた。今後、これらについての理論研究をさらに進めるとともに、それを裏付ける様な実証研究も積極的に行いたい。 本年度の研究成果は、次のようなものである。Journal of Regional Scienceから発表された論文("Urban Unemployment and the Spatial Structure of Labor Markets,"),学会での論文発表2回("Why are Imperfectly Competitive Markets Extraordinarily Large in the Spatial Economy,"Far Eastern Meeting of Econometric Society,および、"Information Costs and Rigid Prices under Spatial Competition,"理論計量経済学会)である。これらは、地域的な不完全競争市場での価格調整の不十分性について理論的に考察したものである。特に、後者の論文では、地域的不完全情報が、どのようなメカニズムで価格の硬直性を生じさせるか理論的に明らかにした。また、「青山経済論集」において、「地域的労働市場とフィリップスカ-ブ」の論文題目で、日本における地域的労働市場の機能、失業とインフレ-ションの特性について、明らかにした。この研究では、各地域のフィリップスカ-ブの違いが、どの様な労働市場の要因によって規定されるか分析した。
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