• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1990 年度 研究成果報告書概要

近代日本における在来産業の展開と地域経済の変貌に関する研究ー阿波藍を中心にしてー

研究課題

研究課題/領域番号 01530044
研究種目

一般研究(C)

配分区分補助金
研究分野 経済史
研究機関神戸大学 (1990)
愛媛大学 (1989)

研究代表者

天野 雅敏  神戸大学, 経済学部, 教授 (80122985)

研究期間 (年度) 1989 – 1990
キーワード在来産業 / 地域経済 / 転換期 / 阿波藍 / 外圧 / 資本蓄積 / 所得構成 / 近代化
研究概要

本研究は、阿波藍を事例にして、近代化過程における在来産業の動向と地域経済の変容過程について若干の検討をおこなうことを課題としていたが、以下その成果の要点をかんたんに述べることにしよう。
阿波藍は、18世紀にはいると急速な成長をしめし、吉野川下流域を中心にしていわゆる藍作地帯が形成されるにいたる。そして、19世紀にはいると幕末期にかけて、その産業組織には大きな変化と分化がみられ、後発藍商や中小藍師層の台頭がいちじるしくなり、こうした構造変化をつうじて、在地における資本蓄積の深化と拡大が進行したのである。徳島県域の経済近代化は、幕末期以降のこのような経済発展を基礎にしていたことは否定しえない。しかし、それはまた阿波藍業の動向が徳島県域の近代産業の動向をも制約することになったものとおもわれる。
貿易統計によると、明治20年代にはいると外国藍の流入が増加しており、それは阿波藍に少なからぬインパクトをあたえたといえる。とくに近世の主要市場であった関東を主な販売地域としていたいわゆる関東売藍商は大きな衝撃をうけていた。それは、本研究において紹介した明治期以降関東市場に進出した後発藍商奥村家の所得構成の変化にもあらわれている。奥村家の藍商所得の比重は明治20年代以降低下するとともに、あらたに諸商業所得が出現し、肥料問屋への転換がみられたのである。そして、こうした衝撃は県内の産地構造にも一定の影響をあたえていたといえよう。それは、当時奥村家よりさらに小さいいわゆる中小藍師であったとおもわれる板野郡藍住町東中富の高橋家の帳薄の上にもあらわれている。高橋家の決算薄によると、明治20年代後半にはその経営が悪化しつつあったのである。かくて、20年代後半の外国藍の流入によって、阿波藍はきわめて重要な転換期をむかえていたといえるであろう。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 天野 雅敏: "明治中期における中小藍師の経営動向" 「国民経済雑誌」.

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Amano, Masatoshi: "On the Business Activities of a Small-Scale Awa Indigo Producer in the Late 19th Century" Kokumin-Keizai Zassi. Forthcoming.

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より

URL: 

公開日: 1993-08-12  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi