2年計画の初年度である平成元年度は次の3つの作業を中心に研究をすすめた。以下、それぞれの作業についての実績を述べる。 1.1930年代に経済建設に従事した中国人テクノクラ-ト(技術専門家)を網羅的に把握すること… 中華民国国民政府の『職員録』(1941年)により技術職員名をカ-ド化する作業を臨時協力者の協力を得て完成した。また、経済建設実施機関である、全国経済委員会の『職員録』(1936)や資源委員会の『職員録』からも技術職員名をカ-ド化した。 2.代表的な中国人テクノクラ-トについての文献、資料を収集し、整理し、年譜と事績記録を作成すること。 中華民国(台湾)で出版されている『伝記文学』雑誌および中華人民共和国で出版されている『文史資料』を中心に、水利土木テクノクラ-トである本儀祉、鉄道建設テクノクラ-ト浚鴻〓、橋架建設テクノクラ-ト等以昇らの年譜と事績を整理中である。研究成果の一部を平成2年1月19日に京都大学人文科学研究所の「1920年代の中国」共同研究班にて、「本儀祉について」というテ-マで発表した。 3.代表的な中国人テクノクラ-トの経済建設への従事や貢献についての研究 このためには、まず2つの年譜・事績の整理作業が前提になる。現在は李儀祉についての研究をもとめつつあり、成果は『福山大学経済学論集』に掲載予定である。 研究の第二年度たる平成2年度には、代表的テクノクラ-トの年譜・事績整理作業および研究を続いて進める予定であり、浚鴻〓、芽以昇、趙祖康、揚水訓らをまとめる計画である。
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