研究概要 |
2年計画の最終年度である平成2年度は,平成元年度の成果をふまえて,次の研究作業を行なった。 1.1930年代に経済建設に従事した中国人テクノクラ-ト(技術専門家)を網羅的に把握し,彼らの存在状況を明らかにするために。 中華民国国民政府の『職員録』(1941年)および全国経済委員会の『職員録』(1936年),資源委員会の『職員録』から技術職員名をカ-ド化した。これによって,1930年代の国民政府内の中国人テクノクラ-トについては,姓名,年齢,出身地等を網羅した基本リストができたと考えている。 2.代表的な中国人テクノクラ-トについて年譜や資料目録を作成すること。 ここで,「代表的な中国人テクノクラ-ト」とは,水利・土木テクノクラ-トの李儀祉,鄭肇経,交通・土木テクノクラ-トの芽以昇,楊承訓,趙祖康,凌鴻〓,農業テクノクラ-トの呉覚農,趙連芳,経済政策テクノクラ-トの馬寅初らを指している。このうち,李儀祉,凌鴻〓,馬寅初については,すでに出版されている年譜を土台として関係資料を整理しつつある。他のテクノクラ-トについては,この2年間に入手した『文史資料』類を利用して年譜を作成中である。 李儀祉の年譜および陝西省における水利建設事業については研究成果を平成2年度中に論文として発表する予定であったが,平成2年9月陝西涅恵渠で開催された水利史研究会において,李儀祉および陝西水利事業についておびただしい資料が発表され,しかも大部分が未入手・未見であることを考えて発表を控えた。馬寅初についても関係資料が続々と出版されつつあるが,現在はそれらを参照しつつ,彼の著書『中国経済改造』(1935年)を中心に分析作業をすすめている。
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