研究概要 |
本研究は,日中戦争前の1930年代に,中国の経済建設政策に従事した中国人テクノクラ-ト(技術専門家)の存在状況と代表的なテクノクラ-トの活動について,基礎的かつ網羅的な整理作業を行ない,彼らの歴史的特質の新たな面を明らかにすることを目標としている。平成元年度から2年度にいたる2年間の研究によって,中華民国国民政府全国経済委員会に属する中国人テクノクラ-トについては,その存在状況が基本的に明らかになり,その中に4つのカテゴリ-が見出された。第1のカテゴリ-は,専門的知識と職位をもつテクノクラ-トであり,建設計画を立て,それを実施することができる。第2のカテゴリ-はそのような職位を持たない。第3,第4のカテゴリ-は,第1と第2のカテゴリ-のテクノクラ-トを援助する職員である。第1のカテゴリ-に属するテクノクラ-トについてはその生涯と活動が明らかとなった。すなわち,水利・土木の専門家李儀社,鄭肇経,交通・土木の専門家茅以昇,楊承訓,趙祖康,農業の専門家呉覚農,趙連芳らである。国民政府の経済建設政策に果たした彼らの役割と機能および思想については,それぞれ政策ごとにより詳細な分析を行わなければならいが,この2年間はとくに,水利建設に大きな足跡をのこした李儀社の陜西省における水利建設について分析を行なった。他のテクノクラ-ト,たとえば経済の専門家馬寅初についても順次分析をすすめる予定である。
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