研究課題/領域番号 |
01530054
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
石垣 健一 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (40047486)
|
研究分担者 |
黒木 祥弘 大阪府立大学, 経済学部, 講師 (60186533)
井澤 秀記 神戸大学, 経済経営研究所, 助教授 (80159657)
三木谷 良一 神戸大学, 経済学部, 教授 (30030670)
|
キーワード | 金融のグロバリゼイション / 金融の自由化 / 金融の国際化 / 環太平洋諸国 / 在日外銀 / 在外邦銀 / 金融摩擦 / 銀行の現地化 |
研究概要 |
金融のグロ-バリゼイションが急速に進展するなかで、日本の金融機関の海外市場への急速な進展が目立っている。邦銀の総海外拠点数は、837(1987年末)であり、主たる進出先は米国、英国、香港、中国、オ-ストラリア、シンガポ-ルなど環太平洋諸国とヨ-ロッパ諸国が中心となっている。邦銀はこれらの進出先で地元銀行と激しい競争を行いながらも確実にシェアを拡大しつつある。例えば在米邦銀の資産額は全在米銀行の総資産の約10%を占めている。在英邦銀の総資産は全在英銀行の総資産の36.4%を占めるに至っている。これに対して日本へ進出している外国銀行のパフォ-マンスはきわめて対照的である。在日外銀は日本の金融市場においては、コ-ル市場を除いては、マ-ジナルな存在でしかない。金融の自由化や国際化によってその地位は上昇するよりもむしろ低下しており、とくに銀行の伝統的業務である貸付はそのウエイトのみならず、絶対額においても低下している。在日外銀と在外邦銀の活動を比較し、その特徴および含意を示せば、次のとおりである。 (1)在日外銀が進出先の海外市場でかなりのウエイトを示しているのに対して、在日外銀はマ-ジナルな存在でしかない。(2)在外邦銀の活動の主力は、進出先の市場の性格によって異なる。英国市場では国際銀行業務が中心であるが、米国市場では国内金融業務も国際金融業務と同程度に重要である。その他金融センタ-を除く市場での在日邦銀の中心業務は国内金融市場との関連の強い業務が中心となりつつある。(3)在外邦銀はいわゆる「現地化」ないし「ロ-カリゼイション」を進めつつあるが、在日外銀はそれとは逆方向に動きつつある。このようなことの結果、現状ではいわゆる金融摩擦問題が発生しつつある。 以上が平成元年度の研究から得られた主たる研究の成果の要約である。
|