取出しロボットを装着したプラスチック成形機を使用している作業者について心理・生理面からの研究を本年度は行った。 1.フリッカ-検査の結果からみると、射出成形機を使用していた従業員延21名の結果は、出勤時のフリッカ-値が極端に低く、作業の開始とともに上昇を続け、昼食休憩時も、この傾向は変らなかった。午後16時30分の時点で最高の水準を示し、午後19時15分の残業終了時にやや低下するものの依然として、作業開始時の8時15分のレベルを大きく上廻っていた。大部分の作業者は、夜21時までさらに残業を続けており、そのために、フリッカ-水準が低下しなかったものと思われる。今回の調査対象工場は、秋から受注が増大し、フル操業が続いており、残業がついには夜の21時までという異常な事態になってしまい、ロボットの有無の影響よりも、長時間残業の影響による蓄積疲労の影響がフリッカ-値に大きく表われたものとみられる。 2.時間研究の結果をみると、取り出しロボットによる作業の規制はみられるものの、規制度がゆるいために、手待ちの影響がみられる作業者もあり、ロボット導入時の問題点発見の手掛りが、ここにあるように思われた。 3.作業感情調査の結果をみると、ネガティブ感情が午後に高水準で訴えられており、長時間残業の影響が色濃く認められた。 4.副次行動調査の結果で特徴的だったのは、残時間残業のために睡眠時間が短縮された影響が、ねむそうな表情に表われていたことである。本来立体作業で、身体を動かす作業なので、座位による単調感からくる睡眠はないはずであるから、このねむそうな表情は明らかに睡眠不足によるものと思われる。以上の結果をみると、ロボットを使用した作業といえども長時間の残業などがあると、負担としては残業の方が大きいことが示唆された。
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