本研究の目的は、信用組合での合併目的である経営効率の向上、経営基礎の強化が合併によって実際に実現しているかどうかを、公表されている財務デ-タの計量分析によって実証使用とするものであった。 そこで、分析対象として、昭和50年より昭和56年までに合併した22の合併信用組合の2組合間の合併11件と合併組合に対応して、各都県別に、預金量による規模が一番近い非合併組合を対として11組合選択している。 信用組合での合併効果を測定するための経営指標として、通常、使用されている19の指標を作成し、2合併組合については、比較のため合併前の財務デ-タの合計値を各11組合について用いている。 合併効果を測定するための経営指標により、合併信用組合の合併前後の比較分析を平均値の差の検定で行い、これに対応して合併効果以外の影響を除去するため、非合併信用組合における合併組合の合併年前後の比較も同様に分析する。その結果、貸出金利回、預金貸出金利鞘、預資金原価率、経営収支率で合併に負の効果があることがわかった。また、預金率については合併前にあった優利さが合併後、失われており、これも負の影響があるといえる。 判別分析を上述のデ-タに適用すると、判別制度は80.00%以上となり、合併による精度の上昇も確認できた。 さらに合併信用組合と非合併信用組合の経営指標の差(相対的経営指標)により合併1年前後より順に11年前後までの経年効果を調べると、総資金運用利鞘、利益率については、合併前より合併後が低い、すなわち、合併効果が負であるという結果となり、前述の結論を支持している。また、合併信用組合と非合併信用組合の財務特性の比較によては、前者の方が劣っていることが実証された。
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