信用組合での合併効果は、昭和50年より昭和56年までに合併した合併信用組合18組合と、各都道府県別に、預金量による規模が一番近い非合併信用組合を対として選択し、収益性、安全性、生産性等についての19の経営指標の比較分析により識別されている。合併信用組合と非合併信用組合の各々について合併信用組合の合併時期前後の比較を平均値の差の検定で分析し、各指標の合併前後の有意差の有無に注目し、両グル-プとも有意差がある場合とない場合は両グル-プ間での相対的変化はなし、すなわち合併効果はないと考えている。統計的有意差が片方のグル-プでのみ存在すれば、相対的変化がある、すなわち、合併効果が存在しているということになる。そして、単一変量の分析を補強するため以上の分析を多変量解析、判別分析でも行なっている。さらには合併信用組合と非合併信用組合の各々に経営指標の差、相対的経営指標によって合併効果の経年的変化を分析した。この結果、信用組合での合併効果は負であること、そして合併信用組合の方が非合併信用組合より劣った財務特性を示していることがわかった。 第2に、信用組合の理事長に対してのアンケ-ト調査を郵送法で行ない、全信労連組合員への直接アンケ-ト調査を実施した。合併の契機は理事長アンケ-トでは、1監督当局の指導等、2トップの話合いとなるが、組合員へのアンケ-トでは、トップの話合いが、少し順位が高くなっている。合併後、問題として異なる出身母体による差別待遇、事務手続きの二元化、合併の目的として、規模の利益、競争力の向上、経営効率の向上等には両者にはほとんど差がない。 第3に、信用組合と信用金庫間の異種合併の分析も昭和43年より50年までに合併した9組についても、前述と同様の方法で分析した。効果は、従来通り、合併による負の効果が判別できた。
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