本研究の目的はイギリスの経営システムの特性を19世紀中葉から1970年代までの歴史的スパンのもとで明らかにしようとするものである。本研究で「経営システム」の分析にあたっては、経営学でいう「モノ」「ヒト」「カネ」の三側面に着目し、イギリスにおけるそれらの経営資源のあり方とその歴史的変化の態様を追求し、どのような諸条件のもとでどのような変化・発展をとげたかを跡づけ、イギリスの経営システムの歴史的姿態を描出しようとするものである。歴史的スパンを100年間と長くとることによって、経営システムの発展・変容の過程を明きらかにしうると考えている。 上記研究目的の達成のために研究実施第2年度としての平成2年度においては、つぎのような研究活動を行なった。 1.平成元年度にひきつづき、イギリスの経営戦略、企業合同、経営管理組織、同業者団体、人的資源の管理・開発、教育制度および企業資金の調達と配分に関する領域を中心に史・資料の収集とその整序を行った。 2.上記活動にもとづき、より包括的な文献リストの作成を行なった。 3.関連諸文献の講読と問題解析の仮設設定等のために数回にわたる研究会を開催した。分析トゥ-ルの設定にあたっては、「内部化」概念をワ-キング・コンセプトとして採用したが、この概念が本研究のような歴史研究においてどの程度まで有効であるかについても、あわせて検討した。そして十分に有効ではないという結論に達しつつある。 以上
|