本研究の目的は、企業戦略と会計システムの関係に諸側面について議論し、かつそれを実証的に検討することである。われわれは、独自の調査研究から、企業の戦略として4つの類型ー防衛型、攻撃型、分析型、反応型ーを識別した。これらの戦略タイプは、いずれも企業における会計情報システムを設計するのに役立つ。 われわれは、研究の結果、次のことを指摘した。すなわち、(1)組織は、自らの環境における諸条件を安定化させるためにさまざまな戦略を採る、(2)それぞれの戦略型企業は、環境条件に適応する固有の会計システムをもっている、(3)企業戦略と会計システムとの間には有意な関係がある。 こうした仮説から、質問調査表を作成し、それを日本の東証一部上場の鉱・製造業の全社680社に対して郵送し、かなり高い(約33%)有効固答を得て、それについて実証的に検討を加えた。 ところで、最近、管理会計環境が変化しているために、それに対応した新しい管理会計システムの構築の必要性が生じている。事実、今回の実態調査からも、多くの革新的(戦略的)企業が、生産性と競争力の改善のために新しい技術、たとえば、JIT、FMS、CAD/CAM、CIMなどを採用していることがわかった。FMSは、すでに多くの企業で導入されており、FMSそして究極的にはCIMが利用可能であるということは、日本の産業に多くの面で根本的な変革をもたらすことが予測される。
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