平面領上上の2葉の被覆面でリ-マン面を考え、その上の有界正則関数による点分離性についての研究を押し進めた。分岐点が原点に収束している場合には、すでに研究代表者と中井三留(名工大)先生による共同研究により状況が分っている。本年度は、分岐点が単位開円板の周に向って収束する場合についてくわしく調べた。初期に得られた結果から、分岐点を中心とする除去円板の半径を十分小さくすると、常に点非分離となること。また、分岐点の幾何的な分布の様子により分岐点を中心として除去円板をどんなに取ってもいつも点非分離になる場合と、除去円板の半径を大きくすることで点分離になる場合のあることが分っていた。これをもとに、構成的な証明法を開発し、分岐点が具体的に与えられれば、点非分離にするには除去円板の半径をどの位い小さく取ればよいか具体的に評価できるようになった。更に、補助的な考察と、評価法のくわしい解析から、この評価は、分岐点をその隣りの分岐点とのある種の距離を使って書けることも分かった。一方、点分離になる具体例も見つかった。しかし、点分離性に関しては、まだ系統立った例の判定法がなく今後更に研究すべき課題と思われる。以上の結果は、上記中井三留先生及び瀬川重男氏(大同工大)との共同研究の形で近くまとめられる予定である。 この他にも、更に一般的なリ-マン面で有界正則関数による点分離性について考察を行ない、若干の結果を得た。こちらの方面の研究は大きな発展が望めるが困難も大きく、いまだ結果をまとめて発表するまでには至っていない。今後とも研究を進めるべく努力中である。
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