研究概要 |
1.1次元開円板におけるθ方程式の解の一様評価を与えるWolffの方法を詳細に検討して,この方法の2次元開球Bの場合への高次元化について考えた. (1)開球Bおよびその境界S上の関数の空間,微分形式の空間を設定した.特にS上の(2,1)形式の空間H^1_<2,1>(S)は重要である. (2)θ方程式の解の一様評価の問題を,H^1_<2,1>(S)の要素のある積分の評価の問題に帰着した. (3)H^1_<2,1>(S)の要素をBのθ閉形式の空間H^1_<2,1>(B)に拡張する作用素を構成した.このような作用素はこれまでHenkin,Skoda等により構成されていたが,我々の作用素は彼らのものと異なっている.また構成方法も異なる.但し拡張作用素を与える積分核の境界Sでの増大度は彼らのものと同程度である.我々の方法で得られた拡張は,(2,1)形式の接成分の係数がM‐調和関数になるという特徴を持っている.2次元のみでなくn次元の場合にもこのような拡張作用素があるかどうかは今後検討すべき課題である. (4)1次元の場合のGreenの公式の類似の公式を得た.これは通常のn次元のGreeenの公式とは異なり,logの項が現れるように工夫したものである.特にθ方程式のdataの(0,1)形式とH^1_<2,1>(B)の外積の微分の評価については,法方向の微分の評価のみ必要であることがわかる. 2.C^2の座標軸を保つ正則自己同型全体の作る群AXについて調べた. (1)部分群AX_Kを設定した.AXの要素がAX_Kに属するためのJaソobianについての条件を与える定理を証明した. (2)部分群APを設定した.APの広義一様収束の意味の生成系を与える定理を証明した.
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