2年間の予定である本研究の初年度における研究実績の概要は以下のとおりである。 1.劣モジュラ構造を有する組合せ最適化問題に対する既存の解法を調査、整理した。 2.既存の解法の調査、整理の過程において、劣モジュラ関数最小化問題に密接に関係する問題であるところの多面体上の最小ノルム点を見出す問題の重要性を認識し、その問題の構造および可能な新しい解法について吟味した。 3.この研究への取り組みによって、最小ノルム点問題に対して、分離超平面を用いた双対算法を考察した。さらに、本双対算法の有効性を検証するために計算機実験を行い、その有効性を確認した。この成果は、論文としてまとめられ、近く日本OR学会論文誌に掲載される予定である。 4.劣モジュラ関数最小化問題の解法の実用上の問題点について、理論的解析を行いつつある。劣モジュラ関数最小化問題の特殊な場合であるネットワ-ク・フロ-と最小カットの問題についても考察を進めている。 次年度では、解法の実用上の問題点について計算機実験ならびに理論に基づく解析を行い、実用的な効率的解法の実現を目指す。さらに、得られた新しい技法が他の関連する諸問題へ適用可能であるか否かを検討し、未解決問題の解決に向けて本研究をさらに展開していく。
|