研究概要 |
最終年度に残された具体的な課題は以下の通りであった. 1.競争する3種それぞれに対して隠れ家としてのパッチを加えた場合のパ-システンス条件を求め,その生物学的意味を明らかにし昨年度の結果(論文3)と比較する. 2.1の系がパ-システンスである場合,系に周期解が発生する条件を求める. 論文3と異なる別のheteroclinic cycleが出現することを明かにし,それがリペラ-となる条件を与えた.2は数値計算により周期解が存在することが分かっているので,Hopf分岐理論を用いて解析的に存在条件を求めた(論文6).更に,このような周期解と現実の海洋系で見られる魚種交替現象との関連を調べた(論文4,5). 3.以上の系は種間の優劣関係が巡回的である場合であるが,系に最も優位な種が存在する場合も考察する. この系は隠れ家なしの状態では,最も優位な種だけが生き残り他の種は絶滅する.このような系をパ-システンスにするために必要な隠れ家の最小個数を求める.この系は隠れ家を導入しない場合の挙動が単純であるため,パ-システンスな系の大域安定性を解析した(論文10,11,12). 4.パ-システンスを拡張した概念であるパ-マネンスと大域的安定性について多種競争系を考察した(論文13,14). 5.以上はパッチが競争系である場合であったが,共生系(論文7),補食者ー被食者系(論文9)についても系のパ-システンス条件を求めた.
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