低質量星の形成の場として注目される「孤立暗黒雲」に付随した星間磁場を検出し、星間雲の形成と進化に果たす星間磁場の役割を観測的に考察することを目的として、国立天文大岡山天体物理観測所及び堂平観測所の光学望遠鏡を共同利用して星間偏光観測・光電測光観測を実施した。 対象にした暗黒雲は、高銀緯分子雲の一つである「大熊座分子雲No.1」と、U字形をした分子流を伴う「L1221」で、光電測光観測から暗黒雲の距離と星間減光量を求め、観測される星間偏光の結果を併せることにより磁場に関する情報を取り出すことを試みた。 特記すべき成果は、可視波長域の星間偏光観測を電波域でのゼ-マン効果の測定値と結合させて、分子雲内の磁場の強さと方向を決めることに成功したことである。今年度の観測・整約で 1.分子雲内の高密度領域で星間塵粒子の整列が効率よく行われていること、 2.整列は磁場によるものと解釈されること、が確認された。さらに、大熊座分子雲については 3.磁場の強さは25マイクロガウスで、視線となす角度は110°であること、 4.暗黒雲までの距離は110パ-セクで、星間減光は可視域で1等級ほどであることが示された。 L1221で検出された偏光が、分子雲内のU字形双極流とどの様に関わっているかについては、偏光の波長依存性と偏光効率及び測光精度の検討を加えて更に調査・観測をまつ必要がある。
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