昨年度に行なった研究成果を踏まえ、ハ-ド・ソフト両面にわたる観測システムの高質化を計るとともに、本格的な観測・解析を継続した。その概要は次の通りである。 1.観測システムの高質化 長時間の時系列観測を行い得るよう、光磁気ディスクを追加整備したため、従来からの固定ディスクとの併用で次のような画像採取を行なうことが可能となった。すなわち、(1)画像数=512(水平)×480(垂直)、(2)光強度分解能=8ビット(256階調)、(3)時間分解能=約3秒(固定ディスク)/約6秒(光磁気ディスク)、および連続記録可能画像数=512フレ-ム(固定ディスク)/1200フレ-ム(光磁気ディスク片面当り)である。また、これに併せて、観測用のプログラムの改良も行なったため、スペクトル画像、スリット面モニタ-Hα単色像、フレアパトロ-ルHα像、および比較像のうち任意の画像を自動的にあるいは手動的に自由に取り込むことが可能となった。 2.プロミネンスおよびフレアの観測・解析 プロミネンスの時系列スペクトル観測を行い、詳細な線輪郭解析を行なうことによって、いかなる種類の振動や波動がいかなるプロミネンスのいかなる場所に存在するかを見いだすのが初期の目的であった。このため比較的静穏なタイプのプロミネンスについて時系列スペクトル観測を蓄積するとともに、たまたま太陽活動の極大期に当たっていたため、活動型プロミネンスやフレアについても積極的な観測を行った。それらの一部はすでに解析を行ない、主として速度場の時間的・場所的変動に関する結果が求められている。
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