研究概要 |
本研究はオリオン座の広い天域にわたって水素Hαに輝線を示す輝線星のサ-ベイを実施しそれに基づいてオリオン領域における星形成過程を解明しようとするものである。この目的に沿って観測および観測結果の考案を行ない次の成果が得られた。 (1)木曾観測所のシュミット望遠鏡により4天域について実施したサ-ベイ観測が終了し、10°x10°の領域に合計1099個の輝線天体を検出した。その内688星が本サ-ベイによる新しい検出であり、そのほかに14個の非恒星状天体も発見された。これらの輝線星は位置、明るさの測定を行なってカタログを作成した。 (2)輝線星のうちのサンプルについてストロムロ山天文台における分光観測を実施し、輝線星の分光分類および輝線強度測定を行なって、これらのサンプル星の殆んどすべてが小質量の前主系列星であるT Tau型星であることを見いだした。これによりオリオン座の広い領域、特にオリオン暗黒星雲帯の西側にT Tau型星が広く分布することが判明した。 (3)分光観測の結果を用いて作成されたHR図上の分布をみると、前主系列星としての輝線星は年令に大きな幅を持つことを示す。これはOBアソシエ-ション星、暗黒星雲、分子雲などと比較してこの領域における星形成過程に重要な課題を提供するものである。 (4)OB星についてはWarren,Hesser(1977a,b;1978)による詳細な観測デ-タとの比較を行ない、オリオン領域における大質量星(OB星)小質量星(輝線星)の分布の相違から、両者の生成過程を単一の初期質量関数で説明するのは困難であることを示した。 これらの成果は順次論文として公表の予定である。
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